| 技術情報2026/02/19
今回のお役立ち情報は、配管設計において塩ビ管(PVC管)を使用する際の注意点について、
まとめさせていただきました。設計を行う際には、以下の点にご注意ください。
それでは、共有させていただきます。
- 概要
樹脂管(HIVP・VP等)は耐食性や施工性に優れた管材ですが、支持金具等の固定部材に
「軟質塩化ビニル(軟質PVC)」が含まれている場合、材料特有の化学現象により管の強度が低下し、
ひび割れ(クラック)を誘発する恐れがあります。
今回は、そのメカニズムと適切な選定方法について解説いたします。
- 可塑剤の移行による劣化メカニズム
2.1 可塑剤とは
可塑剤(かそざい)は、プラスチックに柔軟性を与えるために添加される成分です。軟質塩ビ(ビニールテープや被覆金具など)には多くの可塑剤が含まれています。
2.2 「可塑剤移行」による影響
硬質塩ビ管(HIVP等)に軟質塩ビ部材が長時間接触すると、軟質塩ビに含まれる可塑剤が硬質塩ビ管側へ移動する「可塑剤移行」という現象が起こります。
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項目
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発生する現象
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軟化・膨潤
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接触部分の樹脂が局所的に柔らかくなります。
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強度低下
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樹脂本来の分子構造が変化し、耐圧性能が低下します。
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環境応力亀裂
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内部応力や振動が加わることで、接触部からひび割れ(亀裂)が発生します。
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※注意点:
給湯配管や高温環境下では、分子の運動が活発になるため、この移行現象がより早期に進行する傾向があります。
- 注意が必要な施工事例
現場において、無意識に樹脂管と接触させてしまいがちな部材には以下のようなものがあります。
- 軟質塩ビ被覆の支持金具: 振動防止や傷防止目的のもの。
- ビニールテープ: 識別用や仮止めでの巻き付け。
- 軟質塩ビ被覆の電線・ケーブル: 配管に添わせて結束した場合。
- 緩衝材: 軟質塩ビ製のシートを挟み込むケース。
- 事故防止に向けた対策とご提案
設備の長期的な信頼性を確保するため、以下の対策を推奨いたします。
4.1 適切な材料選定
- 管材と同素材の使用:硬質ポリ塩化ビニル製サドル等を使用。
- 非塩ビ素材の使用: 支持金具の被覆材には、可塑剤を含まないEPDMゴム、ポリエチレン、
またはステンレス製を推奨します。
- 絶縁処置: やむを得ず接触する場合は、可塑剤の影響を受けないシート(フッ素樹脂等)を介在させてください。
4.2 施工・点検時の管理
- 施工仕様の徹底: 現場作業員への「軟質PVCとの接触禁止」の周知。
- 定期点検: 既設配管において、軟質塩ビ部材との接触による変色や軟化がないかの確認。
- おわりに
軟質PVCは便利な素材ですが、樹脂管と長期間接触すると影響が出る場合があります。
弊社では、お客様の設備が安心してご使用いただけるよう、
適切な材料選定や施工方法をご提案できるように常に前進し続けます。
ご不明な点やご相談がございましたら、どうぞお気軽にお声がけください。
設計事業グループ/田浦
TECHNICAL ENGINEERING GROUP(設計事業グループ)
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